高齢者に多い「耳垢栓塞(じこうせんそく)」
お知り合いの高齢の方で、認知機能が
低下していらっしゃる方。
その方の耳垢、溜っていませんか?
耳垢を取ると、認知機能が改善されることがあります。
ところで、あなたの耳垢は湿っていますか?
耳垢には、2種類あります。
- 湿性耳垢(しっせいじこう)タイプ
ねばねばした耳垢で、白人や黒人は
ほとんどこのタイプです。 - 乾性耳垢(かんせいじこう)タイプ
カサカサした耳垢で、日本人をはじめ
黄色人がこのタイプです。
ただ、日本人も 16% は湿性耳垢タイプで、
北関東・東北以北や南九州以南に多いようです。
じつはこの前、ムッシューが
耳鼻科に行って、耳掃除をしてもらいました。
そこで耳から、小さな塊が出てきたようです。
話を聞くと初めてではないようで、聞こえ
づらくなって耳鼻科に行くと、耳の中にこの
塊があり、取り除いてもらうとよく聞こえる
ようになるとのことでした。
この塊は、いわゆる耳垢。
耳垢といっても、ときに異常なたまり方を
する場合があります。
耳垢が、栓のように詰まってしまうのです。
「耳垢栓塞(じこうせんそく)」と呼ばれています。
ここまでくると、もう耳鼻咽喉科医でないと
耳垢を取ることができません
この病気になりやすい人は、
- 湿性耳垢の人
- 耳の小さい子ども
- 耳垢を排出する力が弱くなった高齢者
に多く見られるようです。
耳垢栓塞(じこうせんそく)になると
耳垢が詰まると、シャワーや水泳後に
耳の詰まり感が悪化します。
さらに、外耳道にかかる圧力により、
耳鳴りが発生することもあります。
そして、耳垢栓塞(じこうせんそく)になると、
前出のムッシューのように、聞こえづらく
なります。
その結果 軽度であっても、難聴を引き起こします。
難聴の状態が続くと、
- コミュニケーションの障害を引き起こす。
周囲の人と円滑にコミュニケーションを
とることが難しくなるため、社会的孤立
につながります。
社会的な孤立は、認知機能の低下や
認知症のリスクを増加させる要因と
して知られています。 - 認知機能の低下
聴覚に問題があると、脳の認知機能の
負担が増え、それが認知機能の低下に
つながることもあります。
難聴のせいで、認知機能が低下。
認知機能が低くなると、耳垢の掃除の
頻度が低くなるようです。
そのため、認知機能がまた悪化。
悪循環ですね。
このようなことから、調査の結果、耳垢栓塞
を除去すると、聴力が改善するとともに、
認知機能も保たれやすくなることがわかっています。
耳垢が詰まる原因、耳掃除の仕方も関係あり
耳垢が詰まる原因として、次のような
ことがあげられます。
- 過剰な耳垢の生成
自然に耳垢が多く生成される。 - 綿棒の使用
綿棒などの物体を耳に挿入し、
耳垢が外耳道の奥に押し込まれる。 - ヘッドフォン、耳保護具、または補聴器の着用
機器が外耳道をふさぐため、
耳垢を排出する自然なプロセスを妨害。
さらに、これらの装置は分泌物を
増加させる傾向がある。 - 耳の構造
人によっては外耳道が狭い、または
顕著なカーブを持っているため、耳垢が
自然に排出されにくい。
外耳道に毛が存在するため、耳垢の
自然な排出が妨げられる。 - 水泳
耳垢が水に触れて膨張。
そして耳垢が詰まると人によっては
このような症状が出ることがあります。
- 耳が詰まった感じ
耳が圧迫されているような感覚。 - 聴力の低下
一時的な難聴。 - 耳鳴り
ヒューヒュー、ブーン、パチパチと
いうノイズが聞こえる。 - 刺激性
外耳道のかゆみや痛みが発生する。 - めまい
めまいやバランスの崩れが生じる。
現在、『フランス耳鼻咽喉科協会』は、
耳の掃除に、綿棒を使用しないことを
推奨しています。
理由は、
・ 耳垢を詰まらせる。
・ 鼓膜への損傷(鼓膜に対する栓の圧迫)
・ 綿棒の繰り返しの使用によって
引き起こされる湿疹や感染症を避けるため。
耳垢は、潤滑機能とバリア機能を備え、
耳を保護する物質。
ですから、削除しないようにと言っています。
それでは、どのように耳掃除をすれば
よいのでしょうか。
フランスで推奨している耳掃除の仕方は、
必要に応じて、外耳道の目に見える部分のみ、
湿った布を使用するか、シャワーなどで掃除。
つまり、外耳道の奥には入らずに、自然に
耳から排出される耳垢を掃除するだけです。
耳をかき過ぎると、耳の中に傷がついたり、
外耳炎になりやすくなることもありえます。
またフランス耳鼻咽喉科協会では、
『イヤーキャンドル』など、
耳の掃除を目的とした製品の使用を控える
ようアドバイスしています。
実際、研究では『イヤーキャンドル』には
耳掃除の効果がないことが示されているようです。
自分で行う耳掃除は、無理をしないこと。
また聞こえづらくなったら、耳鼻咽喉科医に
相談することをお勧めします。
特に高齢で耳が遠い方は、1 年に 1 度ぐらい、
耳垢がたまっていないか診察を受けると
よいかもしれませんね。
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