迫真の演技、騙される寸前だった!

痙攣しだした女性



前のブログにも書きましたが、最近
悪いことが立て続けに起こったので、
ステーキでも食べて、力をつけようと
今朝、買い物に行きました。

そこで、ちょっとしたことがあったので、
今日はそのお話を。


肉屋さんに行き、帰りに野菜を買おうと
マーケットに寄ったのです。

ここは、こじんまりとした野菜と果物専門
のマーケット。

レジもふたつしかなく、今朝はひとつしか
開いていませんでした。


野菜を選び、レジに行くと「マダム、サバ?」
と男性の声が聞こえます。

「サバ?」とは、「大丈夫?」という意味。

見ると、レジに女性のお客がひとり立って
います。
年齢は 60 ~ 70 代、ムスリムの服装をして
いて、そばの細い鉄柱にしがみついているんです。

下を向いて、からだがかすかに
震えています。
倒れそうになるのを、必死に我慢している
ような感じ。

座らせたほうがいいと思ったのですが、
椅子は近くにないようです。

しばらく様子を見ていると、そのうち
落ち着いたようですが、指で何か指しています。

見ると、レジに置かれたオレンジジュース
の瓶。
すると、彼女、それをグッと握りしめたのです。

するとレジの人がそれを阻止しながら、
「ノンノン、これはあなたの物ではない」と
一言。


そこでそこにいる全員、彼女が誰だか
わかりました。
私を含めてそこにいる人達は、その女性は
お客だと思っていたのですが、どうやら
彼女、物乞いに来たよう。

ジュースがもらえないとわかると、今度は
両手を出し、物乞いを始めたのです。

それが・・・。
後ろにフラ~ッと傾いたと思ったら、
彼女、勢いよくひっくり返ってしまったのです。

誰もが驚き、私も空腹のあまり、倒れたの
かと思いました。
他のお客も、同じことを思ったのか、
「サバ?」と声をかける人もいます。

彼女は床に倒れると同時に、今度は下半身の
痙攣を起こしました。

ただ何となく、芝居じみた気もします。
痙攣って、動きが早いですよね。
それが遅いんです。

でも、もし本当に痙攣を起こしていたら
大変ですので、レジの人が消防署に電話をかけました。


するとそれがわかったのか、彼女、急に
ムクッと起き上がったのです。
今迄 痙攣を起こしていたのに・・・。

その女性は、私のすぐ目の前にいました。
その女性が起き上がったとき、彼女の
目を見たのですが、とてもしっかりしていました。



演技をするなら最後まで完璧にしないとね!




彼女は起き上がると、レジの人に「もう
大丈夫」というような仕草をして、出て
行こうとします。
でもまだ声をかけてくれると、かすかに期待
していたのか、ヨロヨロとドアの方に向かっていきます。

ただそれでもレジ係りは電話を切らないので、
そのまま外に出て行きました。


みんな興味本位で、その女性の行方を追っています。

その女性、駐車場に出て少しすると、
今度はしっかりとした歩調になりました。

この店はガラス張り。
ですから、駐車場まですべて見えるのですが、
まさか駐車場に出た後まで、見られていると
は思わなかったのでしょう。


そして・・・。
その女性、パーキングに止まっている 1 台
の車まで行き、助手席のドアを開けたのです。
運転席に、誰かいるようです。

思わずそこにいる人全員で、顔を見合わせて
しまいました。

ふつう、物乞いに来る人は、車では来ません。
また物乞いに来る人は、服が汚れている人が
多いのですが、彼女、服装もふつうのムス
リムの服装でした。

ですから、その場にいた人全員、騙されて
しまったのです。


レジ係りの人が戻ってきて、レジが再開
しました。
私がベルトコンベアーの上に野菜を並べて
いると、誰からともなくさっきの女性に
ついての話になったのです。

「ほんとうに気分が悪いのかと思ったよ」
などと口々に言ってたそのとき、ひとりの
人が、「見て、隣のパン屋」と叫んだのです。

隣のパン屋とは 1 枚の大きなガラスで仕切
られているのですが、そこにさっきの女性
がいるんです。

やはりレジ係りに両手を出して、物乞いを
しています。

こちらの店からは、彼女の様子が丸見え。
でも彼女は、見られていることに気が付いていません。

ダメだとわかったら、またさっきのお芝居を
するのでしょうか。

私は既に精算していたので、その後の様子は
見ていませんが、もし彼女が同じお芝居を
したら、この店のレジ係りが飛んでいくでしょう。

レジ係りが行かなかったら、ここにいる
お客の誰かが行くと思います。



フランスには、物乞いをする移民が多くいます。
ふつう、服装や仕草などでわかるのですが、
今回はみんな、騙されてしまいました。


彼女の演技は、完璧に近かったと思います。
でも彼女が後ろに倒れたとき、ほんの
少しですが、となりのレジの台に頭をぶつけました。

これは教訓になったでしょう。

ちゃんと後ろを確認して倒れないと、
ほんとうに救急車を呼ぶことになりかねません。

フランスは救急車は有料で、決して安く
ありません。
たぶん保険などもないでしょうから、
そうなったら、どうするのか。


でも、物乞いをする人達、全員が貧しい
というわけでもないようなんですよね。

家に帰ると、豪華なカラーテレビがあったり。


そしてひとつ、彼女がムクッと立ち上がった
とき、「???」と思ったことがあったのです。

最初はレジの人が話しかけても、言葉が通じ
ないようでした。
でも・・・
レジ係りが電話をかけたときは、話がわかったのです。

彼女は床の上に下を向いて横になっていた
ので、レジの人が電話をかけていることは
わかりません。
話の内容がわかったので、起き上がったのでしょう。


外は雨が降っています。
大雪が終わったと思ったら、今度はまた雨。

家の中にいるとあまり刺激がありませんが、
今朝は久々に心配したり驚いたり、
いつもと違った朝でした。




”Amazon” で書籍を出版しています。
「Unlimited会員様」は、すべて無料
お読みいただけます。

書籍紹介

『Kindle Unlimited』に登録すると

・初回 30 日間は 無料

・200 万冊以上の書籍が【読み放題】

無料期間が切れる前に解約すれば、
料金はいっさいかかりません。


どうぞ こちら からご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました