モロッコ・まったく違う世界を放浪してきました!⑤

妻に隠れてお酒を飲むモロッコの男性、見つかると・・・

メクネスのバーで、ビールを飲みながら
自称ガイドの彼とお喋り。

ここから先は “自称ガイド” は省いて、
単に “彼” と書かせていただきますね。


彼の話だと、メクネスでは気軽に
アルコールが買える
とのこと。

彼の住むムーレイ・イドリスではもちろん
買えません。
そのため、彼はお金が入ると、メクネスまで
アルコールを買いに来るようです。


イスラム教は、原則アルコールは
禁止ですが、彼のように隠れて飲んで
いる人もけっこういるみたい
です。


さきほど女性を伴って入ってきた人も
ムーレイ・イドリスの住人だとのこと。

でもメクネスまで買いにくるには、
タクシー代もかかるので、その分高く
なりますね。

ですから、ブランデーを自分で作る人も
いるのでしょう。


彼にどのくらいの頻度でお酒を飲むのか
聞いたところ、 1 週間に 1 度か 2 度と
いうことでした。

自宅で彼がお酒を飲むことを知って
いるのは、彼の妻だけらしいです。

「母親も妹も、自分がお酒を飲んでいる
のは知らない」と言っていました。
ですから、家族が寝静まってから、テラスに
出てこっそり飲む
ようです。

あのテラスで星空を見ながら飲むなんて、
贅沢!
と思ったのですが・・・。


たまに誰かが上がってくるので、
そのときは慌てて隠す
のだそうです。


初めて妻に見つかったときは、
「お酒なんか飲んで。体に悪いし、そんな
物にお金をつぎ込むなんて・・・」と、
さんざんボロクソに言われたようです。

でも彼は、懲りないようです。
「その代わり、お酒を飲むと妻は一緒に
寝てくれない」と言っていました。

男性は家の中では強い存在かと思って
いましたが、そうでもない
んですね。


モロッコでは、男性は 4 人まで妻を
持つことができる
ようです。
彼に「あなたの妻は何人いるの?」と聞くと、
ひとりだけとのこと。

「4 人持ちたい?」と聞くと、妻を 4 人持つ
には、妻ひとりひとりに家を与え、
そのうえ
週に最低でも 1 度か 2 度家を訪問して、妻を
満足させなければならない
そうです。

妻を 4 人持つには、お金と体力が必要なんだ」
と言っていました。

じっさい、彼の知り合いにも、妻を 4 人
持っている人はいないようです。





彼に、ムーレイ・イドリスに住んでいて、
不満はないか聞くと、「少しはあるが、
今の生活に満足している」との返事でした。

収入がそれほどなくても、じゅうぶん
食べていかれるとのこと。
贅沢とは無縁ですが、日中、カフェでミント
ティーを飲みながら、ゆったり過ごせます。


ただ彼は、以前カサブランカで働いて
いました。
このムーレイ・イドリスと違い、
カサブランカは大都市です。

お酒も買えるでしょうし、やはり都市は
いろいろ便利です。
カサブランカに戻りたくならないかと
尋ねると、このように説明してくれました。

カサブランカは物価が高いし、給料を
もらっても、家賃でそうとう引かれる。

それにここには、歳老いた母親がいる。
足も悪くなり、自分が面倒を見なければ
ならないと思って、帰ってきたようです。

弟がいるようですが、やはり上の者が
親の面倒を見るのでしょう。

「それにムーレイ・イドリスは空気がいい」
とも言っていました。
確かにここは車が入れないので、空気は
澄んでいます。


彼がいうには、ムーレイ・イドリスから
他のところに出稼ぎに行った男性は、
ほとんどといっていいほど、この地に
戻ってくる
ようです。


一旦カサブランカのような都市で便利な
生活を体験すると、ムーレイ・イドリスの
ような何もないところに戻ってくるのは
難しいのでは・・・と思ったのですが、
そうではないんですね。

また単身で出稼ぎに行っている男性が
多いことも、理由のひとつでしょう。



イスラム教の大切なイベント・『犠牲祭』とは



また、『犠牲祭』のことも話してくれました。
今年の犠牲祭は、6 月 17 日。

(イード・アル・アドハ)と呼ばれ、
イスラム教徒にとっては、最も大切な
行事のひとつ
です。

「イード」はアラビア語で「祭典」です。

犠牲祭は、
預言者アブラハムがアラーの命令で、息子を
生贄(いけにえ)にささげようとしたところ、
天使が現れて制止し、息子の代わりとなる
ヒツジを与えたという伝承が由来
とされています。

それから羊を屠(ほふ)るようになったようです。

多くのイスラム教徒は親族とともに肉を
食べたり、友人や貧しい人らに肉を贈ったり
して祝います。

貧富に関係なく、金持ちも貧しい人も
皆、同じ羊の肉を食べる
のです。


この日は、どの家でも羊を購入し、家で
屠殺する
のだそうです。

また、羊は精肉店でも買えるようで、
精肉店で羊を買い、その場で屠殺してもらう
ことも可能だと言っていました。

でも最近は、羊の値段があがったようです。

彼の家では、彼が羊を屠殺し、妻や妹が
解体して料理を作る
とのこと。

屠殺の仕方は、よく切れる屠殺用ナイフで、
一気に喉を切るのだそうです。

彼の役目は屠殺までで、その後、妻と妹が
皮を剥いで解体。
これらにかかる時間を聞いたら、大体 30 分
ほどだと言っていました。
けっこう手際がいいんですね。


そしてこの羊肉を使って、たくさんの
料理を作るのです。
羊 1 頭分ですので、そうとうな量になり
ますが、貧しい人にも分け与えるので、
すべて無くなるようです。

また、家々のドアは解放され、近所の
人達は自由に出入りできるようです。


この日は女性は料理やもてなしで
朝から大変だそうですが、男性は
近所の人や知り合いとお喋りしながら
食事をいただきます。

夕方ぐらいには女性も手があくので
やっと一息、お喋りに加わることができるようです。


彼はラクダも屠殺したことがあるようで、
「ラクダは賢い」と言っていました。
モロッコ人は、ラクダも食べます。

牛や羊も屠殺されるときには、それなりに
感じ取るようですが、ラクダは大きな目から
涙をボロボロと流す
ようです。

「まるで子供が大泣きしているよう」と
言っていました。
ラクダは背が高いので、滑りやすいところに
連れて行き、ラクダが滑って倒れたところを、
屠殺用のナイフを使って、首を切り落とすらしいです。

ラクダは、この屠殺場に入る前に感じ取り、
そこで涙をボロボロ流すと言っていました



話は変わりますが、
じつは、わたし、以前ムスリムの女性に
豚肉を食べさせたことがあるんです。
フランスに来たばかりの頃、招待した友人が
ムスリムと知らず、肉団子を出したのです。

日本式の肉団子ですから、豚肉が入って
いました。
彼女は「美味しい」と言って食べていたの
ですが、少ししてから、「コレ、何の肉?」
とわたしに聞いてきたのです。

「豚肉と牛肉」と答えると、慌ててすぐに
紙に吐き出しましたが・・・。


そして、じつはまだあるのです。
こちらは現在も継続中なんですが・・・。

彼女はムスリムですが、日本のインスタント
ラーメンが大好きなんです。
でも彼女の好きなラーメンは、豚のブイヨン
が使われています。

これはわたしが勧めたわけでなく、わたしが
知ったときは、彼女は自分でこのラーメンを
買い込んでいました。

豚のブイヨンが使われていることを
言っていいのか悪いのかわからないので、
今も黙認しています。

彼に、彼女に伝えるべきかどうか尋ねた
ところ、「好きで食べているのだから、
黙っていればいい。知らなければ罪には
ならない
」とのことでした。


じつは彼も、自分の妻と妹に、豚肉を食べ
させたことがある
と言うのです。

カサブランカで働いていたとき、豚肉入りの
品をお土産としてもらい、持ち帰ってきたようです。

なんだったか忘れましたが、中に豚肉が
入っていたようです。
でも彼女達は豚肉が入っているとは知らず、
「美味しい」と言って食べたとのこと。

今も彼女達は、自分達が豚肉を食べたことは
知らないと言っていました。




豚肉を食べると体臭がきつくなる


そしてこのとき、彼から興味深い話
聞きました。
彼が言うには、豚肉を食べると体臭が
きつくなる
と言うのです。

フランスには、体臭のきつい人がいます。
その人が去った後も、その人がいた場所に
行くとにおうのです。


またこのときは、モロッコは連日 30 度以上。
これだけ暑いと、フランスでは、傍によると
「ウッ」と鼻がひん曲がるほど、汗臭い人
に出くわすときがあります。
男性だけでなく、女性でもいます。

それがモロッコでは、汗臭い人に会った
ことがありません。


ヴォルビリウスから乗ったトラックも
後部はとても暑く、普段汗をかかないわたし
でも、タオルで汗を拭いていたほどでした。

わたしの他に男性含めて4人乗って
いましたが、車内はぜんぜん汗臭くないのです。

これはタクシーに乗っても同じ。
こちらのタクシーは、エアコンなどありません。
またほとんど窓が閉まっており、とにかく
暑い。

そこに相乗りです。
でも汗臭いと感じたことは、一度もありません。

また不思議なことに、この暑い中、
だらだらと汗をかいている人がいないのです。
暑い暑いと汗をかいているのは、観光客だけ。

彼も一緒に歩いていて、汗を拭くという
ことはありませんでした。
せいぜい、おでこにちょっと汗をかいて
いるぐらい。

これはやはり、羊肉のおかげなのでしょうか。


話しながらふとテーブルを見ると、彼の前
に、ビール瓶が 6 本溜まっています。
もちろん、彼が飲んだ瓶です。

彼は、あらたにビールを注文しています。
「そんなに飲んで、大丈夫?」と
思わず聞いてしまいました。

せっかくガイド料が入ったのに・・・と
心配したのですが、いらぬお世話でした。

その後、チラッと 50 ユーロと 20 ユーロの
お札が見えたのです。


このとき、またお腹のちょうしがおかしく
なり、わたしはトイレに・・・。
ここもトルコ式でした。


トイレから戻ると、彼がいません。
座っていると、彼が戻ってきました。
そして注文を取りにきた女性が、空の
瓶を 1 本、彼の飲んだ空き瓶の横に置くのです。

なんで空瓶を置いたのか聞くと、後ろに
座っている男性のビールだそうです。

なんでも同じムーレイ・イドリスの住人で
以前奢ってもらったため、今回はお返しを
したとのこと。

一緒にいる女性は奥さんなのか聞いたら、
違うようでした。
やはり彼の妻には、お酒を飲むことは隠して
いる
ようです。

でも、お酒を飲んで帰ると、ニオイでわかる
のではないかと思うのですが・・。

彼も多く飲んで帰ると、「妻がベッドを一緒に
してくれない」と言っていましたし・・・。



モロッコ人の考え方・うまくいけば儲けもの



そんな話をしていると、
彼が、「今日、寝ない?」と言うのです。


「なにそれ、あなたとってこと?」


「そう」


「ノー」


「なんで?」


「だってその気がないから」
「これも誘ってみて、うまくいったら
儲けものってこと?」



「こんなこと言ってるより、早く帰って
奥さんに相手してもらったら?
アッ、でも酒臭いから、今夜は奥さんは
一緒に寝てくれないか」

このように言うと、笑っていました。


「うまくいったら儲けもの」ですが、
じつは、この話が出る前に、モロッコ人の
考え方について話をしていたのです。


ガイド料のことでした。


「あなたが最初に言った
『コム・ブーブレ』あれ、やめたほうが
いいと思う。

せっかく気持ちよく周ったのに、
あとで請求されたら気分が悪い」

わたしがこのように言ったところ、

「このように言うと、思ったより多く
くれる人もいるんだよ。
日本人はケチるけど。それに何でも言って
みるべき。多くくれたら儲けもの


これが彼の言い分でした。
ほとんどのモロッコ人は、このように
考えるのでしょう。

スークがいい例です。
最初に言われた値段で買うと、バカをみます。


そこで、どこの国の人が多く払うか聞いた
ところ、フランス人が入っていました。
フランス人はケチかと思っていたのですが、
人によるんですね。

でも、日本人はケチと言われたので、
これには反論

「日本人はケチではなく、相場を知らべて
きているからなの」と説明しました。

「ネットで調べると、適正な料金が載って
いるから、それよりも高く言われたら拒否
するのは当たり前」と。

「今は情報社会。個人で来る人は私も
含めて、それなりに調べているの。

だからケチじゃなくて、正当な料金以上に
吹っ掛けられれば払わないだけ。

だから日本人には『うまくいけば儲けもの』
は効かないわよ」

このように、言っておきました。

でも、この先、彼が直さないことは
わかっていましたが・・・。


その後、どういうわけでこの話題に
なったのかわからないのですが、年金の
話になったのです。

「もう年金もらっているの?」と聞くと
まだ 60 歳になっていないからもらって
いないけど、自分の年金はこの額」と、
そのときに年金証明書を見せてくれたのです。

「エッ、これ、いつも持ち歩いているの?」
と驚いたのですが、そのようです。

その証明書を出す時に、ユーロのお札が
ちらっと見えたのです。


時計を見ると、既に 10 時をまわっています。
そろそろ帰ろうかと思っていると、
「ベルベル人のダンス、見に行かない?」
と誘われました。

この後に行く砂漠ツアーでは、ベルベル人の
音楽を聴きますが、ダンスはありません。

ビール 1 本で見れるというので、興味が
あり見にいきました。
それは、このバーを出てすぐのところに
ありました。



すいていたので、ステージのそばの席に
案内されました。
ビールを注文すると、ベルベル人の
ダンサーがふたり登場


なんとも、体格がいい女性です。
後ろの男性が楽器を弾き始め、ひとりの
ダンサーが踊り始めました。

しばらくすると、席も埋まってきました。
ビールを注文。
ここでも前のバーと同じビール「Stork」。
モロッコ産のビールで、定番のようです。


そのうち、お客のひとりの女性がステージ
に行き、一緒に踊りだしたのです。
手の動きが、とてもなめらかでじょうずです。

それを見ながらビールを飲んでいると、
「一緒に踊ってくれば?」と言うのです。
それが聞こえたのか、手招きされました。

ある程度アルコールがまわっていたのでしょう。
しぜんにステージに行き、一緒に踊ることに・・・。



彼に撮ってくれるよう、スマホを渡しました。

楽しく過ごしたので、そろそろ帰ることに。
外に出てタクシーを拾い、運転手にホテルの
場所を説明してもらいました。


彼がお酒を買って帰るのかどうかは
わかりませんが、この時間にあいている
お店があるのか・・・。
その前にタクシーはいますが、ムーレイ・
イドリスまで一緒に帰る人が見つかるのか・・・。

ただ彼のこと、なんとかして帰るでしょう。
わたしが心配することではありません。

タクシーに乗った時点で、「元気でね」
と挨拶をして別れました。



ホテルに着くと、もう 0 時近く。
リュックに入っていた魚は、もちろん
ゴミ箱に。

シャワーを浴びて、彼の撮ったビデオを
見ようと思いスマホを出すと・・・。
「なにコレ?」
同じ写真が何十枚もあるのです。



ビデオを撮ってもらうつもりだったの
ですが、すべて写真でした~。

ビデオの撮り方を知らなかったのか?
または、「ビデオ」と言わなかったこちら
の落ち度か?

もしくは、日本語だったから、ビデオの
ボタンがわからなかったのか?

でも観光の際、写真は撮ってもらっていた
ので、ビデオもわかると思ったのですが・・・。
仕方ありませんね。


スマホのアプリを見ると、この日は、
18キロも歩いたようです。




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