熱いお茶が危険な理由
今は暑いので、熱いお茶を飲む方も
少ないと思いますが、
普段から熱いお茶が好きで、味噌汁も
アツアツで飲んでいるという人。
でも、この行為が「がん」を誘発していたとしたら……。
今日は『熱い飲み物と食道がんの関係』
について書いています。
じつは、熱いお茶などを飲むと、食道に
腫瘍ができるリスクが 2 倍になる可能性が
あるのです。
いわゆる “食道がん” ですね。
食道がんは、世界中で 8 番目に多いがんの
原因であり、がんによる死亡の主な原因の 1 つです。
タバコやアルコ―ルと食道がんの関係は
過去にも報告されていましたが、
熱い飲み物とがんとの関係はよくわかって
いませんでした。
それが、イランの研究調査によってわかったのです。
2009 年 3 月、
イランの『テヘラン医科大学』の研究者ら
は、お茶を飲む習慣のある人を対象に調査を実施。
食道がんを患っている300人と、
健康な571人を比較しました。
調査がおこなわれたのは、
イラン北部ゴレスタン州。
この地域は、世界で最も咽喉がんの発症率
が高いのですが、喫煙率やアルコール摂取
量は低いのです。
また、イランは伝統的にお茶は非常に熱く、
約 70°C で飲まれています。
この研究では、70度を超える熱いお茶を
飲むことは、65度以下に冷めたお茶を飲む
のに比べ、咽喉がんになるリスクが8倍に
増えると報告しています。
その上、60 ℃以上の熱いお茶を定期的に
飲む人は、リスクが 90 %上昇するようです。
熱湯は口や喉の内壁を刺激し、腫瘍を
発生させる可能性があると、科学者らは
考えています。
また、2004 年から 2017 年まで、
イラン北東部に住む 40 歳から 75 歳
までの 5 万 45 人を調査したところ、
この追跡調査期間中、食道がんの新たな
症例が、317 人確認されたのです。
75 °Cで定期的に飲む人では、
食道がんのリスクが 2.4 倍に上昇していました。
なぜ、熱いものを摂取するとがんになるのか
熱い飲食物を取ると、なぜ食道がんに
つながるのでしょうか。
それはのどや食道の粘膜に『炎症』が
起こるからです。
熱い物が好きな人は、口の中やのどに
『火傷』を起こしているのと同じ状態になります。
熱により食道が傷つき、炎症が起こります。
すると食道の細胞の遺伝子が損傷し、それを
修復するために細胞の再生が行われます。
その過程において、細胞が突然変異を
起こし、発がん性化学物質の生成が促進
される可能性があるのです。
当然、細胞の再生回数が増えれば増える
ほど、がん化が起こりやすくなります。
熱い物を摂り過ぎると、口腔、咽頭、食道の
がんのリスクが上がるのはそのためです。
実際、日本で行われた調査でも、
熱い飲食物を好む人、よく摂る人が
食道がんになりやすいというデータが
複数あります。
じっさい、食道がんの人に聞くと、
過去の食習慣として「熱い食べ物を好む
人が多い」傾向にあったようです。
食道がんは主に 60 代から 70 代の人々に
罹患し、女性よりも男性に多く見られます。
症状としては、
・ 嚥下困難
・ 持続的な消化不良または胸焼け
・ 食後すぐに吐き出す
・ 食欲不振
・ 体重減少
などが挙げられるようです。
国際がん研究機関(IARC)も、
65 ℃以上のとても熱い飲み物は
「ヒトに対しておそらく発がん性がある」
物質に分類しています。
熱いものを食べたり飲むときは
寒い冬になったら、アッツアツのおでんを
ハフハフしながら食べて、ビールをゴクッ・・・
または、チンチンにした熱燗をクイッ。
この瞬間がたまらないという方もいらっしゃるでしょう。
これらは至福の時ですが、食道を
思いっきりいじめています。
『アツアツの飲み物・食べ物』は、
喫煙、飲酒と並ぶ食道がんのリスク大なんです。
食道がんの初期には、自覚症状がない場合が
多いと言われます。
でも、実際は食事中の違和感から早期の
食道がんの発見につながることもあるようです。
「食べ物を飲み込んだとき、熱いものを
飲んだときに胸がしみる感じがあった」
「つかえる感じがあった」
早期の食道がんが見つかった方は、この
ようにいう方が多いようです。
昔からウルグアイやブラジルの南部では、
頭頚部がんや食道がんの患者が多く、その
理由は “熱いマテ茶を飲む習慣” が関係して
いるとされてきました。
日本でも、熱い茶粥をかき込んで食べる
習慣がある奈良県や和歌山県は、食道がんの
発生が多い地域といわれています。
熱い飲み物は、少し冷ましてから
摂取するようにしましょう。
よく飲む時の最適温度として、
緑茶は、70~80℃
コーヒーは、68~70℃くらい
といわれますが、もう少し冷ました方が
いいですね。
英医学会会報では、
お茶の温度は、平均 56 ℃ ~ 60 ℃が
望ましいと指摘しています。
お茶の場合、熱いお湯を湯のみに入れ、
それから急須に戻すとこの温度になるようです。
他に、 60 ℃というと、素手で触って
10 秒我慢できる温度だそうです。
食事のときに、
・ 胸がしみる
・ チクチク痛む
・ つかえる感じ
これらは、食道がんの比較的初期から
見られる症状だそうです。
食事中にこのような感じがあったら、
お近くの病院で、ぜひ内視鏡検査を受ける
ことをおすすめします。
【参照元:dailymail.co.uk】
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