肉や魚は買えなくなる
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たんぱく質を摂取するには、昆虫を食べる。
将来は、これが当たり前になるかもしれません。
「2050 年にはタンパク質の供給量が
足りなくなる可能性があるのでは」と
現在 欧米を中心に議論されているのです。
筋肉、肌、爪、髪、内臓など、あらゆる
部分に存在するたんぱく質。
・ 血液やリンパ液
・ 体の機能を調節するホルモン
・ 消化や吸収に関わる酵素
これらをつくっているのも、たんぱく質です。
たんぱく質は『 3 大栄養素』のひとつ。
英語では “プロテイン”。
これはギリシャ語で ”最も重要” を
意味する ”proteios(プロティオス)” が
語源です。
「プロテインクライシス」
お聞きになった方もいらっしゃるかも
しれませんね。
これは、「タンパク質危機」という意味で、
2050 年に訪れるといわれています。
2050年なんて、もう目の前、そう遠い話
ではありません。
その理由は、
日本では人口は減少傾向にありますが、
世界全体で見ると人口は急速に増えています。
2024 年、全世界の人口は 81 億 1900 万人。
国連の調査によると、
・ 2030 年には、約 85 億人
・ 2050 年には、約 97 億人
・ 2100 年には、約 108 億人
に到達すると予測されています。
人口が増えれば、当然そのぶん食糧を生産
しなければなりませんが、もし食糧の生産が
人口の増加に追いつかなかったら・・・。
実は、その危機は近くまで迫っています。
まず、肉ですが、
現在の畜産方法では大量の穀物が必要となり、
森林が破壊される点や、いずれ土地も資源も
追いつかなくなるといった点が課題視されています。
また、家畜から発生するメタンガスや
温室効果ガスは、全体の発生量の 14.5 %を
占めるとも言われており、問題となっています。
そして、魚。
漁業に用いられる魚粉、大豆についても
土地の必要量が追いついていません。
大豆の生産量は、1960 年に比べて、
既に 10 倍になっているため、これ以上の
増量は難しいと言えるでしょう。
また、化学物質による水質汚染や、
管理の悪い養魚場ではバクテリアや病気が
拡大し、結果的に自然の生態系に影響を
及ぼすと言う問題も起こっています。
このように現在の方法でのタンパク質の
生成・提供では、世界全人口への供給は
ほとんど不可能といわれているのです。
日本人はたんぱく質不足
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現在 日本人の食生活は、タンパク質の
摂取量が減少しています。
日本人を対象とした調査では、
1 日あたりのタンパク質摂取量が、
1950 年と同水準まで落ち込んでしまって
いるのです。
現代人のタンパク質摂取量は、
「戦後と同水準」といえます。
たんぱく質が不足すると、
- 筋力低下
- 免疫力の低下
- 皮膚の老化や肌トラブル
このようなことが起こります。
特にシニアは、日々の活動を維持するため、
適正なたんぱく質摂取が必要です。
たんぱく質の摂取は、身体から筋肉が
失われるのを遅らせる効果があります。
充分な筋肉があれば、日常動作を維持する
ことが容易になり、障害を予防することが
できるのです。
2006 年、英国ニューカッスル大学で
85 歳以上の 722 名の参加者を集め、
5 年以上にわたって追跡調査をしました。
障害の発生率を調べたところ、
たんぱく質の摂取が多い高齢者ほど、
重度の障害になるリスクが低下していました。
毎日体重 1 kgあたり 1.0 g以上の充分な
たんぱく質を摂っていた人は、そうでない
人に比べて、重度の障害になるリスクが
有意に低かったのです。
シニアの場合、半年前より 5 %程度
体重が減った場合は、要注意といわれています。
体脂肪ではなく “筋肉” が減っている可能性が
あるからです。
ミドル世代も同様です。
同じものばかり食べていたり、
カップラーメンやスナック菓子で済ませて
しまっている人。
そんな人がやがて高齢になると、
筋肉の衰えや低体力(サルコペニアや
フレイル)などによる転倒や、内臓疾患の
リスクが増してきます。
将来、たんぱく質を摂取するには
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たんぱく質の重要性は、じゅうぶん
おわかりいただけたと思います。
「それなら、植物性のたんぱく質は?」
と思われた方。
植物性 VS 動物性、どちらが優秀だと思いますか?
アミノ酸スコアでは、植物性たんぱく質
よりも、動物性たんぱく質の方が優れています。
植物性たんぱく質のアミノ酸スコアは、
44 ~ 90 %しかありませんが、動物性
たんぱく質はほとんどが 100 %となっています。
そのため、植物性たんぱく質は、アミノ酸
スコアが低いため、植物性たんぱく質のみ
で必要な量を摂るのは難しいです。
そして動物性たんぱく質の中では、
魚由来のたんぱく質の方が優れています。
・ 魚 不飽和脂肪酸
・ 肉 飽和脂肪酸
このように肉類は ”飽和脂肪酸” が多く、
コレステロール値の上昇や、腸内環境
悪化につながるリスクがあります。
ただ魚も、今後食するのが難しくなって
くるでしょう。
今も問題になっていますが、海は汚染され、
魚には水銀の心配があります。
昔はそれこそ魚の摂取量に制限など
ありませんでしたが、現在は食べるのに
注意が必要な魚もあります。
特に妊婦さんなどは、気をつけないと
赤ちゃんに影響が出る可能性も指摘されています。
でも、たんぱく質は私たちのからだには
必要不可欠なものですから、摂取しなけれ
ばなりません。
それでは、どうしたらいいのでしょう。
たんぱく源は「代替たんぱく質』
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そこで登場するのが、代替たんぱく質です。
これは、動物性食品(動物性たんぱく質)の
代わりに、植物性の原料や、その他を使って
作られたたんぱく質です。
既に植物由来の代替たんぱく質は、
数多くの製品が出回っています。
でも、これらは結局のところ水・土地が
必要になり、十分なシステムを構築できない
との考えも出てきています。
そこで、これらの課題の解決策の一つとして
現在、【昆虫食】が注目されているのです。
日本でも、昔からイナゴや蜂の子などは
食べていますよね。
昆虫食は、栄養価が非常に高く、
少ない天然資源で生成が可能です。
例えば、1 グラムのタンパク質を生産する
のに、牛の飼育には 254 平方メートルの
土地が必要です。
それに対し、昆虫は 18 平方メートルで
事足りるのです。
そのようなことから、2017 年には
・ イギリス
・ オランダ
・ ベルギー
・ オーストリア
・ フィンランド
・ デンマーク
これらの国で、昆虫食が合法化されています。
現在、研究と開発が進んでいる昆虫食は、
以下のとおりです。
1. コオロギ
現在、フィンランドでは、様々な会社が
“コオロギ” を原料として食品を出しています。
高タンパクであるだけでなく、その他の
栄養素も多分に含んでおり、その上鉄分が
多いため、ベジタリアンや健康志向の高い
女性などから人気が高いようです。
コオロギのローストなどもあるようです。
イナゴの佃煮と同じ感覚でしょうか。
日本では昔から昆虫を食べているので、
抵抗がない人もいるでしょう。
すでに、 “コオロギラーメン” や
“コオロギせんべい” も出ていますしね。
2. 蚕
世界で初めての蚕由来の代替タンパク食品を
提供するのは、日本の “エリー株式会社”。
「シルクバーガー」などがあるようです。
3. 人工培養肉
牛や豚から幹細胞を採取して特定の栄養を
与え続けることで、シャーレ内で出来上がる
人工肉です。
大きさにもよりますが、数週間から 2 ヶ月
程度で完成するようです。
他にも微生物を活用して、二酸化炭素から
タンパク質を生成するとか、さまざまな
研究がおこなわれています。
今後、自然なかたちで摂取できる
たんぱく質(肉や魚)は、入手がとても
難しくなるでしょう。
そうすると、昆虫食や人工培養肉が
当たり前のように、店頭に並ぶのでしょうね。
何十年後かになると、今の肉や魚はとても
貴重な食材となる可能性もあります。
子供に「昔は至る所で、牛や豚を育てて
食べていたんだよ」 と 話すような時代が
くるかもしれませんね。
いまのうちに、新鮮な肉や魚を
どんどん食べておきましょう。
たんぱく質は、私たちのからだには、
必要不可欠なものなのですから・・・。
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