言葉の魔法・恐怖が愛着に変わる

高感度を高める言葉の選び方

犬とボンジュール



毎朝の日課になってしまった、犬との挨拶。
これがないと、ウォーキングが終わった気が
しないのです。

その犬とは真っ黒な大きな犬で、おばあさん
の飼い犬。
毎朝私を見つけると、「ボンジュール」と
挨拶をしに来てくれます。


きっかけは、10 日ほど前のある朝。
おばあさんとその犬は、以前から見かけて
はいましたが、おばあさんとは挨拶ぐらい
しか、したことがありませんでした。

おばあさんは 80 代でしょうか。
歩き方もゆっくりで杖をついています。

毎朝、犬の散歩にきています。
犬はおばあさんの横を歩いているのですが、
歩き方がとてもゆっくり。
だから、老犬かと思っていました。

ある日、おばあさんとすれ違った際、
犬が私の方に来ようとしたのです。

おばあさんは「ノン、ノン」とまるで
小さな子供に言うように、犬を制しました。
犬はおばあさんに従い、おばあさんの方へ
戻っていきます。

そんなことが 3 日ほど続いたとき。
ある朝、犬がこちらに来ようとしたときに、
私が声をかけたのです。

「私は犬が好きだから大丈夫ですよ。
それに彼はおとなしそうだし」と
言ったら、おばあさんの返事は。

「確かにおとなしいのよ。
でも誰にでも『ボンジュール』って
言いに行っちゃうの


とっても素敵な返事だと思いませんか?
この返事を聞いていっぺんで、この
ワンちゃんに愛着を感じてしまいました。

おばあさんが「ノン」と言わないので
その犬は私のほうへやってきました。

愛らしい目。
私が思ってたほど、歳はとっていないようです。
歩き方を見て老犬かと思っていたのですが、
おばあさんに合わせて、ゆっくり歩いていた
だけだったんですね。

ワンちゃんの頭を撫でながら、
「ボンジュール、トワ」と挨拶をしたら、
鼻を上に向けてくれたので、
「ボンジュール」と返してくれたような
気がしました。

私はウォーキングの途中だったので、また
歩き出しました。
するとその犬は、おばあさんの方へ戻って
いきます。
いつもよりも歩き方が早い。

するとおばあさんが「こうして走っちゃうの」
と言う
のです。
私から見たら、ふつうの歩き方ですが、
歩き方が遅いおばあさんからしたら、
走っているように見えるのかもしれませんね。


毎日のルーティンになった犬との挨拶

おばあさんと犬



それからはずっと、この犬との挨拶が
ルーティンになってしまいました。

ところが3 日前、その犬に会わなかったのです。
「おばあさんが散歩に行く時間と
ずれてしまったのかもしれないな~」
と思い、しばらくその辺を行ったり来たり
していたら、おばあさんが犬を連れて現れました。

犬はすぐに私を見つけ、「ボンジュール」
を言いに寄ってきました。
おばあさんに言わせたら、「走って挨拶に
行った」になっちゃうかな。


犬との挨拶は 1 秒もかからないのですが、
「しばらくウロウロしててよかった」と
なんか、ホッとした感じがしました。

犬との挨拶のあとは、おばあさんに挨拶、
または簡単な会話をして家に戻ります。

このワンちゃんとの挨拶、そしその後に
おばあさんに挨拶。
今はウォーキングをするときの、楽しみと
なっています。



言葉の魔法

言葉の魔法



言葉ってホントに魔法みたいですね。

朝、ウォーキングをしていると、犬を連れて
散歩をしている人によく会います。

リードをつけている人もいれば、リード無し
で散歩をさせている人もいます。

でも知らない大きな犬がそばに寄ってくる
と、ちょっと怖いですよね。
その都度 飼い主が制するのですが、
たいていは「ノン!」ときつく言います。


随分前のことですが、1 匹の
セントバーナードに飛びかかられたことが
あります。
大きさからして、成犬でした。

私が愛犬を腕に抱えていたら、飛びかかって
きたんです。
今はもういませんが、その頃私は
マルチーズを飼っていました。

私の愛犬を見る度、その犬は飛びかかって
くるのです。
たぶん一緒に遊ぶつもりなのでしょうが、
私の愛犬はマルチーズ、小さいです。

だから飛びかかられると、コロンとひっくり
返ってしまう。
愛犬はそれが怖くて、その犬を見ると
怯えていました。

そこでその犬から守るために、愛犬を腕に
抱えたら飛びかかられたのです。

飼い主ははるか遠くにいます。
飼い主が大声で制しているのですが、
その犬は飼い主の言葉など、まるっきり無視。

おかげで服も汚れましたし、私の腕には
ひっかき傷ができてしまいました。

このようなこともあるので、大きな
犬が急に寄ってくると怖いです。


でも、おばあさんのこの犬。
前から見かけていて知っていたこともあり
ますが、「”ボンジュール” を言いに寄って
行っちゃうの」と言われたら

怖さはなくなって、反対に愛着を感じてしまいました。

「このような言い方をする飼い主の犬なら」
と思ったことは確かですが・・・。


言葉って魔法みたい
言い方次第で、人の心を変えてしまう。

このおばあさんが、もし「おとなしいんだけど
人がいると寄っていくのよ」と言ったら、
私は「そうなの」と思うだけで、別に愛着は
感じなかったと思います。

犬が寄ってくるのを待って、頭を撫でながら
「ボンジュール」と挨拶をすることも
なかったかもしれません。


ちょっとした一言で、人はスマイルに
なります。
人にスマイルをもたらす、このような
返事をとっさに返せる人になりたいですね。


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