糖質ゼロなのに、なぜ甘い?
『カロリーゼロ』飲料は、カロリーがない
から太らない。
このように思って、飲んでいる方は多いでしょう。
また、もしあなたが「毎日飲まないと落ち
着かない」というのでしたら、
これはもしかしたら、依存症の可能性も・・・
ダイエット志向・健康志向の広がりととも
に、様々な種類のゼロカロリー飲料が販売
されています。
でも、甘いのにゼロカロリー。
本当にゼロカロリーなのでしょうか。
じつはほとんどの飲料は、多少カロリーが
あります。
“100 ml当たり 5 kcal未満”なら、
「ゼロ」「無」「ノン」「レス」
「フリー」の表示をしても許可されます。
“糖質ゼロ” や “糖類ゼロ” も同じです。
100 ml当たり糖類が 0.5 g未満なら
「糖類ゼロ」と表示できます。
ドリンクのパッケージの「栄養成分表」
に「炭水化物」があれば、そこに「糖質」
「糖類」が含まれているはずです。
そのうえ、これらの飲料には、“人口甘味料”
が含まれています。
人工甘味料とは、その名の通り人工的に
作られた甘味料のこと。
現在、日本で多く使われている人工甘味料は、
・ アスパルテーム
甘未度 砂糖の 200 倍
・ アセスルファムカリウム
甘味度 砂糖の 200 倍
・ スクラロース
甘味度 砂糖の 600 倍
です。
砂糖の数百倍もの甘さを持ち、少量の使用で
済むため、低カロリー食品を作ることが可能です。
人口甘味料による障害
でも、これらを摂取し続けて、健康への被害は
ないのでしょうか。
じつはこれらの飲料を頻繁に飲んでいると、
このような障害が起こってきます。
- 味覚障害
人工甘味料の強い甘さに慣らされて、
味覚が鈍くなってきます。
果物などの自然の甘さでは物足りなくなり、
かなり甘くないと満足できなくなってしまうのです。 - 中毒性(依存)
人工甘味料の甘さが、ドーパミンなどの
神経伝達物質や神経の快楽中枢に影響を
及ぼし、中毒を招く可能性があります。
2007 年にフランスで、マウスを使い
人工甘味料の実験が行われました。
その結果、人工甘味料はコカイン以上に
中毒性が高いことが分かったのです。
美味しいものを食べると、ドーパミンなど
の神経伝達物質が分泌され、満足感を得ます。
そして、「もっと食べたい」という
欲求が起こるのです。
でもこの欲求が強くなると、ドーパミンの
分泌をコントロールできなくなります。
たとえば、薬物を投与するとドーパミンが
分泌され、幸福感や快楽を得られます。
が、ドーパミンが枯渇すると、また薬物が欲しく
なるのです。
これと同じで、人工甘味料の甘さで満足感を
得るのですが、ドーパミンが枯渇すると、
また人工甘味料が欲しくなるのです。 - インスリンの分泌増加
砂糖の代わりに人工甘味料を摂取しても、
脳はそれを糖と認識して、インスリンの分泌
が促されます。
そのうえ、人工甘味料を使った製品を摂取
したときのほうが、砂糖を使った製品より
インスリンの分泌量が多かったと報告されています。
また、ダイエットや体重減少が目的なのに、
食欲が増すのです。
その理由は、胃が甘みを感知すると、
“グレリン”というホルモンが分泌されます。
“グレリン” は脳の視床下部に働いて食欲増進、
成長ホルモンの分泌を促進させます。
人工甘味料の入ったドリンクを飲んでも
グレリンは分泌されますから、食欲が増す
わけで、その結果、肥満につながるのです。
そのうえ長期的に摂ることで、腸内環境が
悪化するとの報告もあり、肥満や糖尿病など
のリスクが高まる可能性も危惧されています。
人口甘味料入り飲料は、肥満や糖尿病のほか
にも病気のリスクがあります。
下記は、今までに発表された研究結果です。
1.
『アメリカ国立衛生研究所』が、約 26 万
4000 人の中高年者の疫学調査をしたところ、
甘いドリンク、特にダイエット・ソーダは、
うつ病のリスクを高めることがわかりました。
毎日 4 缶以上飲んだ人たちは、飲まなかった
人に比べて、うつ病の発症が 31 %も高く
なったのです。
これらの飲料を多く飲むと、神経伝達物質が
減り、うつ症状が現れると考えられています。
腎機能や脳卒中、心筋梗塞のリスクも高ま
るようです。
2.
『欧州糖尿病学会』が発表した研究では、
人工甘味料 “スクラロース” または
“アセスルファムカリウム” のいずれかを、
27 名の健康な被験者に、毎日 1.5 リットル
摂取してもらいました。
その結果、摂取を始めてから 2 週間後には
2 型糖尿病のリスクが 67 %上昇し、メタボ
リックシンドロームのリスクは36 %増加しました。
この研究結果により、
- 人工甘味料は「代謝障害」を誘発する
- 体重増加やメタボリックシンドローム
のリスクが高まる - 2 型糖尿病などのリスクが高まる
と、報告されています。
3.
フロリダ州オーランドで開催された
『第 99 回内分泌学会』での発表です。
毎日 4 缶の人工甘味料が入った飲み物を
飲んでいる人の脂肪組織を採取して、実験
を行いました。
その結果、
人工甘味料によって脂肪細胞の生成が促進
され、さらには体内の炎症を引き起こし、
細胞を傷つけていることがわかりました。
これらの結果から、人工的に甘くされた食べ
物や飲み物は体内ではうまく代謝されず、
摂取を続けることで、体の中の自然なサイクル
を破壊していることが明らかになりました。
下記は、『ダイエットソーダ』の実験で
わかったことです
『ダイエットソーダ』とは、人工甘味料を
添加した炭酸飲料のことです。
1. ハーバード大学
3000 人以上の女性を 11 年間、追跡
調査しました。
ダイエット・ソーダを 1 日 2 缶以上飲んでいた
人は、飲んでいなかった人に比べて、腎機能
が 30% 低下していました。
2. コロンビア大学
血管系疾患の発症リスクを高めると報告。
ダイエット・ソーダを毎日飲んだ人たちは、
飲んでいない人に比べて、脳卒中や心筋梗塞
などを発症するリスクが 43% も高くなっていました。
英科学誌『ネイチャー』には、人工甘味料が
腸内細菌に作用して、代謝異常を起こすという
報告もされています。
人口甘味料の代わりになるものは?
2023 年、WHOはガイドラインで、
体重管理に非糖甘味料(NSS)を使用しない
よう勧告しました。
“非糖甘味料” (NSS)とは、
合成甘味料(アセスルファムカリウム、
スクラロース、アスパルテーム等)と
天然甘味料(ステビア)です。
非糖甘味料の長期使用により、
2 型糖尿病、心血管疾患、成人の死亡率の
リスク増加など、望ましくない影響が潜在的
に存在する可能性があることを示唆しています。
それでは、人工甘味料をやめるとすれば、
代わりに何を摂取すればいいのでしょうか?
おススメするのは、こちらです。
・メープルシロップ 楓(カエデ)
・はちみつ
・黒糖
もちろん、オーガニックの無添加のものです。
これらに含まれているオリゴ糖は、体内に
すぐに吸収されず、そのため血糖の上がり
方がゆっくりになります。
そのうえ、ミネラルも摂取できます。
また、植物由来の甘味料もおススメです。
オーガニックの “ステビア” は代替品と
して最適です。
ステビア?
初めてお聞きになられた方もいらっしゃる
かもしれませんね。
ステビアは、南アメリカを原産とするキク科
の植物です。
154 以上もの種があり、食用だけではなく
観葉植物やハーブとして楽しまれているものもあります。
ステビアは、多くの臨床実験によって、人体
に安全な天然由来の甘味料であることが実証
されている、正式に認可されている甘味料です。
砂糖の 300 倍の甘さがありますが、血糖値に
影響しない特徴を持っています。
カロリーを抑えることができるため、
ダイエットや糖質制限を意識している方に
とっては、活用したい甘味料のひとつです。
ではなぜ、WHOのガイドラインに入って
いるのでしょうか。
平成 8 年度厚生科学研究報告書
「既存添加物の安全性評価に関する調査研究」
平成 13 年 11 月「薬事・食品衛生審議会食品
衛生分科会毒性・添加物合同部会」
これらにおいて様々な医薬分野の専門家に
より評価が行なわれ、ステビア甘味料には
発ガン性などの毒性が無いことが重ねて確認
されています。
ただ最近、このような研究結果が出ました。
どちらも 2023 年の発表ですので、このため
WHOのガイドラインに載ったのではないか
と思います。
”「エリスリトール」という成分を摂りすぎる
と、血栓症や脳卒中、心筋梗塞などのリスク
が高まる”。
これは 2023 年、アメリカの『クリーブ
ランドクリニック・ラーナー調査研究所』が、
「Nature Medicine」という学術誌に掲載
したものです。
ステビアなどの甘味料に使われている
“エリスリトール” には血液を固める役割を
持つ、血小板の働きを過剰に促進させる
作用があります。
そのため、血が固まって血栓ができ、それが
血流に乗って脳や心臓に移動することで
脳卒中や心筋梗塞などのリスクにつながる
ことがわかりました。
ただこれは過剰に摂取した場合で、ふつうに
食べている分には問題はありません。
「ステビアの 1 日の摂取量」ですが、
欧州食品安全機関が定める一日摂取許容量は、
4 mg/kgです。
体重 50 kgの方は、一日に 200 mgまで
摂取可能ということになります。
厚生労働省が平成 23 年に行った『甘味料
マーケットバスケット調査結果』では、
日本人の成人 1 日当たりのステビア(ステ
ビア抽出物)の平均摂取量は 0.387 ㎎でした。
ですから、摂りすぎの心配はありません。
ただし、市販のステビア入り甘味料を 1 日
に 5 杯以上使用している方は注意が必要です。
そしてもうひとつの注意点。
ステビアはキク科に属しており、キク科の
ブタクサやヨモギにアレルギーがある方は、
同様にアレルギー反応を起こす場合があります。
実際の症例として、
・ 食後にじんましんが出る
・ 喉がイガイガする
・ 咳が出る
このような、即時型アレルギー反応が報告
されています。
ですから、誰にでも使用可能かというと
そうではありません。
キク科アレルギーがある方は、特に注意が
必要な甘味料となります。
またステビアは「妊娠毒性はない」と言わ
れていますが、過去に動物実験で、妊娠率が
低下した結果が出ています。
このような方以外なら、
“ステビア” を砂糖の代わりに使うことで、
十分な甘味を感じられ、エネルギー摂取量
を抑えることができます。
ステビアには糖質は含まれないため、食べて
も血糖値が上がらず、糖尿病を持つ方にとって
は嬉しい甘味料と言われています。
それに、ステビアは糖類ではないため、
虫歯になりにくいです。
ただすべてにおいて言えることですが、
なんでも過剰摂取はよくありません。
適量を摂って、じょうずに利用したいものです。
【参照:who.int】
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