血液サラサラ、季節限定の野生ニンニク

希少価値が高く、栄養価の高い山菜

行者(ギョウジャ)ニンニク』をご存じですか。

別名野生ニンニク(ラムソン)とも呼ばれ、
からだに良い栄養素が、たくさん詰まって
いる山菜です。


フランスでは、”L’ail des ours” (熊ニンニク)
と呼ばれています。

学名は、『Allium ursinum』

ただ、ここからは統一して、“行者ニンニク”
という名前で呼ばせていただきますね。


昨日友人宅に昼食に招かれたのですが、
近くにこの “行者ニンニク” が生えている
というので摘みにいってきました。

まだ少し早かったようで、葉が小さかった
ですが、食べるなら今が一番いいようです。

もうすこしすると、葉は今より大きくなり
ますが、少し硬くなってしまうとのこと。
今は葉が柔らかいので、食べごろだそうです。

けっこうあります。
土から出ている葉だけを摘んできました。



じつは私は、”行者ニンニク” って知りませ
んでした。
フランスでは森や沼地の近く、川沿いに自生
している春の山菜だそうです。

昨日行ったところも、小川の傍でした。
あたり一面に、野生の行者ニンニクが
生えていました。


行者ニンニクは収穫量が少ない、希少価値の
高い山菜ですが、日本では栽培されている
ものが、たまにスーパーで売られているようです。

ただ、天然物がスーパーに出回ることは
ほとんどないようです。

着いた時点で勧められ、その場で 1 枚 葉を
食べてみました。
味はニラに似ていて、シャキシャキ感あり。
美味しかったです。

日本で、なぜ “行者ニンニク” と呼ばれるか
いうと、

昔、山にこもる修行僧などが、これを食べ
て体力を保持した


これを食べると滋養がつきすぎて修行に
ならないため、食べることを禁じられた

とも言われており、臭いがニンニクに似て
いることから、このような名前が付けられた
ようです。

フランスの、“熊ニンニク” の名前の由来は、
熊が冬眠後に体力を回復するため、この植物
を食べる
」ということから来ているようです。


そこで行者ニンニクについて調べてみたら、
行者ニンニクにはじつにたくさんの
効能があり
ました。




行者ニンニクの効能

行者ニンニクはネギ属の山菜で、ネギやニラ
の仲間です。

栄養価が高くニンニクに似た香りが特徴的
で、シャキシャキとした食感が楽しめます。


それでは行者ニンニクにどのような効能が
あるか
、見てみましょう。

『行者ニンニク』は、

ハーブティー

薬用マザーチンキ

湿布

カプセル

など、薬用として使われていますし、
皮膚疾患おでき、その他の湿疹の湿布
して外用することもできます。


その理由は、抗菌作用、抗酸化作用、
抗ウイルス作用がある
からです。

フリーラジカルの活動を制限することで、
細胞の老化を遅らせます。


【フリーラジカル】

人の体を酸化させ、錆びさせる活性酸素。
さまざまな病気や、ガンの原因ともいわれています。



そのうえ、行者ニンニクには、
ビタミンA&C、カルシウム、鉄、リン、
ナトリウム、銅が含まれています。

注目すべき点は、
行者ニンニクは他のニンニクに比べ、
“アホエン” “アデノシン”多量に含まれ
ている
のです。

これらは血中コレステロールを減らすのに
役立つ成分で、血圧を下げるのに
最も効果的であると考えられています。

これらの成分により、脳卒中心臓病
リスクを軽減
できることが示唆されています。


そして、もうひとつ。
体に対する重金属の影響を軽減する働き
あります。

私達は気付かないうちに重金属を吸収しています。

一部は食品、水、さらには大気中にも存在しますし、
プラスチック、台所用品、革、パイプなど
にも含まれます。

“歯科用アマルガム” にも使用されています。

“アマルガム”とは、銀・スズ・銅・亜鉛の
粉末と無機水銀との合金です。
アマルガムは口の中で少しずつ腐食して、
水銀が溶け出し、体内に蓄積されます。

歯科用アマルガム、これはいわゆる
「銀の詰め物」です。

アマルガムは 1970 年代頃まで、虫歯の
治療などに多用されていましたが、2016
から健康保険の適用外となっています。

そのため、現在はほとんど使用されなく
なっていますが、いまだ使用することが
認められています

フランスでもアマルガムは使用されています
が、欧州連合(EU)の規制により、特に
子供や妊婦に対するアマルガムの使用は
制限
されています。


重金属の体への影響というと、どのような
ものがあげられるでしょうか。

腸疾患などの炎症反応や、神経呼吸器
肝臓腎臓などの重要な機能が影響を受ける
可能性があります。

また、免疫システムが影響を受ける可能性もあります。

症状としては

  • 慢性疲労
         
  • 頭痛
             
  • 精神障害(うつ病、過敏症、不安定性)
             
  • 筋肉痛と関節痛
             
  • 消化器疾患(吐き気、嘔吐、下痢)
             
  • 咳、喉の痛み、体の痛み
             
  • 睡眠の悩み 

これらが挙げられますが、通常、血液検査
尿検査、または毛髪検査にて判明します。


そこで、“行者ニンニク” の出番です。
行者ニンニクに含まれる硫化アリル化合物は、
これらの重金属の排泄を助け、重金属による
悪影響を軽減
するのに役立つと考えられています。

ですから行者ニンニクは
「天然のキレート剤」とも言えるのです。

【キレート剤】

有害な金属イオンを安定な化合物として取り
込む化学物質のこと。


その他の効能としては、

疲労回復や滋養強壮効果

行者ニンニクに含まれる “アリシン” は、
ビタミンB 1 の吸収を助けます。

行者ニンニクとビタミンB 1 を含む食品を
一緒に摂ることで、疲労回復や滋養強壮の
効果がより期待できます。

“アリシン” 同様に、疲労回復に効果的な
“スコルニジン” という成分も含まれています。

アリシンは、行者ニンニクを切る、刻む、
すりつぶすことで、生成される成分です。



骨を強くする

ビタミンKは、骨粗しょう症の治療薬にも使われ
る成分です。
骨にカルシウムを定着させ、骨を丈夫にする
効果が期待できると言われています。

行者ニンニクは生鮮食品の中でも、ビタミン
Kの含有量がトップクラス
の食材です。


行者ニンニクの食べ方


行者ニンニクは、豚肉と相性抜群です。


【レシピ】


『行者ニンニクと豚肉の炒め物』

材料(4 人分)

行者ニンニク  適量(お好みで)

玉ねぎ     半個

豚バラ(コマ) 200 g

酒       大さじ1

塩コショウ   適量


作り方

  • 付け根の赤い部分がある場合は、
    取っていただき、薄皮を手で
    むいてください。

  • 豚肉は一口大、玉ねぎは薄切り

  • 油を入れ豚肉を炒め、焼き色が
    ついたら、玉ねぎを入れる

  • 酒を入れ、しんなりするまで炒める

  • 行者ニンニクの白い部分を入れ、
    次に葉を入れる。
    塩コショウして完成。

醤油や味噌で味付けをしていただいても、
美味しいと思います。
その場合は、行者ニンニクを入れる際に
一緒に入れてください。


『行者ニンニク ア・ラ・ペスト』

材料(4 人分)

行者ニンニク  100 g

松の実     30 g

オリーブオイル  3 cl

パルメザン(粉 )30 g

塩       適量


『作り方』

  • 行者ニンニクをよく洗い、茎を取り除き
    ます。

  • 行者ニンニクを短冊に切り、松の実、
    塩、油と一緒にミキサーに入れます。

  • 加熱しないように数回に分けて回し、
    パルメザンを少しずつ加えていきます。

  • 油が足りないようでしたら、適宜
    加えてください。

茹でたパスタに混ぜていただき、お召し上が
りください。

松の実がない場合は、アーモンドでも
代用可能です。


行者ニンニクは、生でも食べられます。
ただ口の中に匂いが残るので、翌日に人と
会う予定がある場合は注意してくださいね。


『新鮮な行者ニンニクの見分け方』

葉がみずみずしくハリがあり葉先まで
しっかり張っているもの
茎は太めのもの
がおすすめです。

また茎の切り口が白くて綺麗なもの
選んでください。


行者ニンニクは、生のまま冷凍保存も
可能
です。

その場合はよく洗い、キッチンペーパー
などで、水気をよく拭きとってください。

その後、粗く切るか刻んで、冷凍庫用の
保存容器やジップロックに平らにして入れ、
空気を抜いて密閉します。


保存期間は、マチマチなのですが、
冷凍庫で約 6 ヶ月~ 10 ヶ月のようです。
冷凍した葉は、解凍せずにそのまま料理に
使用できます。

ア・ラ・ペストを作る場合やバターに混ぜる
ときは、前もって解凍するほうが良いでしょう。

その場合軽く湯通しするか、冷蔵庫に
移しておくといいようです。


どこで入手できる?

日本では、東北地域北海道の一部の山野
点在して自生していますが、北海道が最大の
自生地と言われています。

ただ行者ニンニクに似ている植物に、“イヌ
サフラン”
があります。

イヌサフランは、有毒な植物です。
植物全体に「コルヒチン」という猛毒を含ん
でおり、間違えて食べる重篤な場合には
死亡することがあります

行者ニンニクとイヌサフランの見分け方は、

  • 臭い

    『ギョウジャニンニク』
    全草にニンニク臭あり。

    『イヌサフラン』
    無臭。

  • 葉の出方の違い

    『行者ニンニク』
    1 つの芽から出る葉の数は 1 ~ 3 枚

    『イヌサフラン』
    多数の葉が重なり合って出る


「写真提供:weathernews


フランスでも同様で、行者ニンニクと似ている
花にミュゲ(muguet)という植物があります。
上の画像の花です。

ミュゲとは、すずらんです。
フランスでは、5 月 1 日は『ミュゲの日』。
愛する人や日頃お世話になっている人に、
ミュゲを贈ります。

この花自体は大変可愛いのですが、この葉は
有毒です。
行者ニンニクとほぼ同じ時期に出てきますし、
葉も似ています。
ただ、間違えて食べると大変危険です。



日本では、地域や天候によって、3 月中旬から
収穫を始める地域もあるようです。

ただ一般的には、行者ニンニクは 4 月
下旬~ 5 月中旬頃収穫される山菜です。
ですから、店頭に並ぶとすれば 5 月頃のようです。

ちなみにフランスでは、3 月~ 4 月に店頭に
並びますが、すぐに無くなってしまうようです。


行者ニンニクは、春先しか出回りません。
稀少な山菜ですので、スーパーで手に入れる
のは難しいかもしれませんが、通販でしたら
高確率で入手
できるようです。

ただ、収穫できる量が少ないため、先行予約
だけで販売が終了することもあるとのこと。

早めに問い合わせて、予約をしておいたほう
がいいでしょう。

行者ニンニクは、これからが季節です。
この栄養たっぷりの行者ニンニク、
お試しになってみてはいかがでしょうか。



今回、摘みにいったときに、上記のレシピで
紹介しました『ア・ラ・ペスト』が簡単で
美味しいと教えてもらいました。

まとめて作っておけば、冷蔵庫で 1 週間、
冷凍庫で数ヶ月保存できるようです。

これからさっそく作ってみるつもりです。



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