日本?どこにあるの?
「日本? どこにあるの?」
私がフランスに住みはじめたとき、
よく言われたのが、この言葉。
今から 30 年ちょっと前。
フランス語では日本のことを
「ジャポン(JAPON)」と言うが、日本と
いう国が存在していること自体、知らない
人が多かったです。
“日本” を知っていたとしても、中国の一部
と思っていた人もいたし。
ただこのときはフランスだけでなく、日本は
まだあまり知られていなかったですね。
ローマのコロッセオに行っても、子供達に
「中国人」と呼ばれたし。
でも・・・
それも今は、遠い昔の話になってきました。
最近、近くにできた団地の方とよく話を
するのですが、日本を知らない人はまずいません。
私が住んでいるこんな田舎でも、スーパーで
寿司が売られています。(日本の寿司とは
だいぶ違いますが・・・)
そのうえここ数年、我が家の近辺では、
高齢者住宅やアパートがどんどん建っています。
私が留守をしていた 7 ヶ月の間に、周りの
環境が大きく変わっていました。
今迄ほとんど変化のなかったところだけに
最近の発展には、驚くばかり。
私が話をする人達は、ほとんどが
この高齢者用のアパートに住んでいる人達。
70 歳以上の方が多いです。
特によく話をするようになった人は、
ひとりはフランスの南部、もうひとりは
北部から来た人。
話を聞くと、南と北ではこうも違うのかと
驚くこともあります。
確かに日本でも、北海道と鹿児島では
同じ日本でも違うのだから、それはそうでしょうね。
彼女達は、外国のカルチャーに興味があり、
私も勉強させてもらうことがあります。
ひとりは母親がポーランド人、もうひとりは
若い頃はベルギーに住んでいたので、他の
高齢者とはちょっと違うかもしれません。
彼女達はさすがに “ポケモン” や” マンガ”
のことは知りませんが、この前は「日本は
ひきこもりがブームなの?」などと聞かれ、
驚いてしまいました。
なんでもテレビで見たらしいです。
最近は、テレビでも日本のことをよく取り上げて
いますし、この前はNHKの番組を放送していました。
でも、これをブームと言われても困るのですが・・・。
パソコンが使えると、視野が広がる
この前、このうちの一人の方から
お茶に招待されました。
彼女は、朝、ウォーキングをしていて、
知合った人。
犬の散歩に出てきているのですがが、毎日
同じ時間に会うので、話をするようになりました。
彼女の家に行くと、彼女の友達がいました。
この方は 85 歳と聞きましたが、とても歳
には見えないのです。
この方が、若いときにベルギーに住んでいた人。
車が大好きで、若い頃は車であちこち行って
いたようですが、今は足が悪くなったため、
車の運転はやめたようです。
もうひとりは 90 歳ですが、まだ運転しています。
この車好きだった彼女、パソコンでいろいろ
調べるのが得意みたいで、高齢者向けの
サービスのことなどよく知っていて、教えて
くれました。
ここはバスが通っていません。
あるにはあるらしいのですが、1 日に
2 ~ 3 本。
通勤用みたいです。
ここには日本のように “回覧板” というものは
ないので、市役所に行って聞くか、ネット
で検索しないとわかりません。
以前、まだ郵便局があった頃。
荷物を送るために郵便局に行ったら、
閉まっていました。
そこにひとりのお歳を召した女性が、お金を
おろしに来たのです。
でも郵便局は閉まっている。
もちろんATMなどはありません。
「明日お金が必要なんだけど、今夜息子が
帰ってきたら、街まで行ってもらわないと」
と帰っていきました。
ここに住むには車が必要なので、高齢の方でも
運転をする人は多いです。
前出の彼女も 90 歳ですが、運転しています。
でもこの女性のように、運転しない人ももちろんいます。
「運転しない人は、バスもなく不便だろうな」
と思っていました。
でも彼女によると、タクシーが無料で使える
とのこと。
ただこれは、すべての高齢者にではなく、
市が認めた人だけのようですが・・・。
彼女は足が悪いので、市から身障者カードを
もらっているようで、これがあると無料で
タクシーを使えて、買い物も行かれると
言っていました。
これも自分で調べて、市役所にもらいに
行ったようです。
「ある程度 歳になったら、自由に身動きが
とれなくなるでしょ。
あなたも 90 歳なんだから、身障者カードを
もらえば、身障者用のパーキングが使える
わよ」ともうひとりの女性に助言していました。
フランスは身障者用のパーキングはあちら
こちらにあるので、ここに止めることができ
れば、移動も楽になることは間違いないです。
彼女は疑問があるとすぐにパソコンで
調べるらしいです。
興味がある分野も広いようで、これが、
若さを保つ秘訣なのかもしれません。
「パソコンが使えると、視野が広がるから」
ともうひとりの女性に勧めたらしく、
90 歳の方は、今パソコン教室に通っています。
今と昔
彼女達と、2 時間以上喋って帰ってきました。
彼女達のような高齢の方と、こう長く話した
のはいつだったか。
フランスに住んでからは、記憶にないです。
ここに住んですぐ、周りから無視され、
子供を幼稚園に迎えに行ったときなど、
挨拶しても返ってこなかったりで、それから
しばらくは ここの人とはあまり接しては
いませんでした。
その頃、近所の人達とは話はしましたが、
それでも挨拶程度。
当時は仕事をしていたので、昼間はおらず、
周りとコンタクトがなかったこともありますが、
閉鎖的な人が多かったので、 “日本人” と
いうことで異様に映っていたのだと思います。
変わってきたのは、ここ 10 年ほど。
そのうえ現在は、このように家やアパートが
軒並み立ち、他所から多くの人が入ってきます。
閉鎖的な人もまだいますが、新たに入って
来る人はみんな移住者なので、オープンな
雰囲気になったのでしょう。
また、フランス自体も変わりました。
フランス人はどちらかというと、あまり
オープンではありません。
新しいことを取り入れるというのが、苦手
のようです。
「フランスという国、そしてフランス語に
誇りを持っているから」
昔はよくこのように言われていました。
たとえば、今はフランス中どこでも見られる
“マクドナルド”。
フランスに入ってきたのは、1979 年 4 月 20 日。
1 号店はパリです。
ずいぶん、遅いと思いませんか?
マクドナルドがフランスに店を出すときは、
随分反対があったのです。
でも今は老若男女、ほとんどが利用しています。
食べたことがない人は、ほとんどいないの
ではないのでしょうか。
日本語も浸透しており、フランス語化
した日本語もあります。
若い人はもっといろいろと知っていると
思いますが、
高齢の方でも知っている日本語というと、
- スシ
- キモノ
- マンガ
- サムライ
- ツナミ(津波)
- カラオケ
- ラーメン
- ジュジュツ(柔術)
他にもあるけれど、こんなところでしょうか。
そういえば最近、テレビで紹介していた日本語。
「旨味」。
有名なフランス料理のシェフが、「ウマミ」
と言っていました。
これからグルメの間で、浸透してくる言葉でしょう。
この前行ったスーパーに、”あられ” が
ありました。
今度お茶に誘われたら、「”あられ” と
“日本茶” のティーバッグでも持って行こう
かな?」と思っています。
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