高齢者は特に注意が必要
『ポリファーマシー』ってご存じですか?
ポリファーマシーとは、
「poly(複数)」と「pharmacy(調剤)」
を合わせてつくられた言葉。
多くの薬を服用することで、
『有害事象発生などのリスク』がある状態
のことです。
今日は “多剤服用” の深刻なリスクと
薬とサプリの危険な関係について書いています。
現在、日本では高齢者の約半数が、
ポリファーマシーの状態といわれています。
高齢になると、薬の量が増えてきます。
- 生活習慣病など、慢性疾患を患う
ケースが増える - 不調や疾患が増える
このように病気の数だけ、薬の種類が増えて
いってしまいます。
最新の研究で、高齢者が 6 種類以上の薬を
服用すると、副作用の危険性が高まることが
わかってきました。
多種類の薬の副作用で寝たきりになったり、
認知機能の低下から『認知症』と診断されて
しまうケースまでじっさい起きています。
ただこれは高齢者だけでなく、
ミドルエイジにもいえるのです。
サプリを飲んでいる方、多いでしょう。
健康食品として扱われるサプリメントと
薬を併用すると、副作用の危険性が高まる
可能性が指摘されています。
まず、なぜ “多剤服用” が起きるのでしょうか。
日本の高齢者の中には、毎日十種類以上の
薬を飲んでいる方がおります。
病気ごとに別の病院に通って、そこで薬を
処方されていると、医師が薬の総数や内容を
把握管理できない可能性があります。
また、薬による副作用を抑えるために
新たな薬が処方され、その繰り返しで
薬の種類が増えてしまうこともあります。
そして薬に加えて、サプリメントを飲んで
いる方も多いでしょう。
「2019年 国民生活基礎調査」では、
サプリメント利用率は、
・男性21.7%
・女性28.3%
男性は60~69歳が28.1%、
女性は50~59歳が37.6%で最多
だったようです。
「飲み始めて効果実感!」
これらサプリの宣伝文句につられたり、
周りの人に勧められたりして飲み始め、
いつの間にか習慣化している方も
いらっしゃると思います。
また「サプリは栄養補助絵食品であり、
薬ではないから」と思っている方も
いらっしゃるでしょう。
でも、リスクがないかというとそうでは
ありません。
健康食品として扱われるサプリメントと
薬を併用すると、副作用の危険性が高まる
可能性が指摘されています。
薬の飲みすぎが原因で認知症に
長い間、寝たきりの状態だった方が、薬を
減らしたら歩けるようになり、以前の生活に
戻ったという事例が多くあります。
日本はフランスに比べても、処方される
薬の量が多いです。
7 種類以上の薬をもらう人の割合は、
・64歳以下では10%
・75歳以上になると、24%
4人に1人ということになります。
最新の研究で、高齢者は薬の種類が増える
ほど、体に異常が起こりやすくなることが
明らかになっています。
特に、6 種類を超えるとそのリスクがより
高まるのです。
これは、東京大学の研究によってわかっています。
それはなぜでしょう。
老化に伴って、薬を代謝する肝臓や、
排泄する腎臓の機能が衰えるからです。
薬の種類が少ないうちは、
代謝、排せつされ、さほど問題は起きません。
しかし、6 種類以上になると代謝機能を
超えてしまうため、体内に蓄積されやすく
なります。
その結果、思いもよらない異常をきたす
ことがあるのです。
特に認知症と診断される方は、睡眠薬などに
問題があるようです。
これらの薬は、ふらつきなどを引き起こす
副作用があります。
1 つでは副作用が少なくても、複数、蓄積
されると症状が強く現れる可能性があります。
例をあげてみますと、
物忘れがとても多くなり、1 日寝ている
ような日が増えたので、自分は認知症に
なったかと受診された男性。
脳の萎縮はさほど見られなかったので、
医師が薬の副作用と判断し、16 種類
飲んでいた薬のうち、鎮痛薬と睡眠薬、
合わせて 4 種類を減らしたところ、
物忘れが大きく改善したのです。
減らした薬には、物忘れや認知機能の
低下を招く副作用がありました。
サプリと薬の関係
サプリは、健康食品ということから、
副作用はないと考え、日常的に
飲んでいる方、いらっしゃると思います。
その一方、薬とほぼ同じものと認識して
飲まれている方もいるでしょう。
【薬とサプリの違い】ですが、
サプリメントは、健康な人が栄養補助食品と
して使うことを前提に売られており、病気の
予防や治療効果を期待して飲むものではない
ということです。
でも医薬品に影響し、医薬品の効力や
副作用が増強したり減弱したりします。
これを「相互作用」といいます。
市販で売られているかぜ薬や、
頭痛薬でも起こるため注意が必要です。
薬とサプリの併用による影響は、とくに
実感できないくらい軽微なものから、命に
関わる重大なものまで多岐にわたります。
「国立研究開発法人
医薬基盤・健康・栄養研究所」が、
薬とサプリメントとの併用で起きた
有害事象をまとめたデータによると、
有害事象が起きた 71 名の患者のうち、
90 %ではなんらかの症状が見られ、
中には 5 名の死亡例も報告されています。
また、死亡には至らなくても、下記の
ような症例が報告されました。
- てんかん発作のコントロール不良
- 肝障害
- 低カリウム血症
- 薬剤性肝障害
- 消化管出血
- 低血糖
- 精神症状の悪化
ただ、薬と併用しておらず、
サプリメント単体の使用でも、
・劇症肝炎
・高カルシウム血症
・アナフィラキシー
などが起こっています。
健康のためにと飲んでいるサプリメントで
かえって体を壊してしまっては、元も子も
ありません。
サプリのやめどきがわからない
若い頃からサプリを飲み続けている方も
いらっしゃるでしょう。
そのような方は、急にサプリをやめると
なんだか落ち着かなくなるかもしれません。
その一方、「なんとなくよさそう」と
サプリメントを飲み始めたものの、
やめどきがわからない、という方も
いらっしゃると思います。
「サプリメントはやめたい時にやめて
問題ない」のです。
現在、私たちの健康を守ってくれる
科学的な根拠はありません。
たとえば、
『膝にいいといわれているサプリ』。
高価なサプリメントですが、
「膝関節に及ぼす影響はない」ということは、
すでに医学論文では結論が出ています。
サプリメントに含まれている
“グルコサミン” “コンドロイチン” を
口から多少摂取したところで、消化管にて
分解されてしまい、関節腔内に届いて効果
を発揮することはないのです。
“コラーゲン” も同様。
経口摂取したコラーゲンは、消化段階で
アミノ酸に分解されてしまいます。
食べたコラーゲンがそのまま肌の
コラーゲンにはなるわけではありません。
そして注意が必要なのが、
ビタミンDサプリ。
ビタミンDを過剰に摂取すると、
血中カルシウム濃度が高値となり、
高カルシウム血症で、
・嘔吐
・けいれん
・不整脈
といった重篤な症状を引き起こす
可能性があります。
1 日の耐用上限量 100 μgを超えては
いけません。
でもこれが難しいのです。
普段食べている食品や摂取している薬に、
ビタミンDが含まれている場合もあります。
ビタミンDサプリの使用前に、必ず成分量
を確認してください。
※ 海外から医療用サプリメントを購入して
いる方は特に注意が必要です。
医薬品の成分が含まれていたり、そもそも
禁止されている成分を使用していたりする
こともあります。
サプリはあくまでも栄養補助食品。
栄養は食事から摂取すればいいのです。
一度に食べられない場合は、何回かに
分けて食べるとか・・・。
でも高齢者の場合、
「食欲が低下しているから、食事から摂取
できないの」とサプリを飲まれている方も
いらっしゃるでしょう。
まず、『食欲低下の原因』を探しましょう。
食欲低下の原因は、気持ちの問題も
ありますし、病気が関係していることも
あります。
食べたいのにあまり食べられないという
場合は、病気もしくは消化器や口の中に、
何か原因となる問題が起きているのかも
しれません。
調理法を工夫してみることも、オススメです。
- 味にアクセントをつける
香辛料や柑橘類の調味料などを使用し、
味覚を刺激することで食欲を増進する。
大根おろしや果汁、ニンニクや梅干し
などを多少加えてみる。 - 食べるときには適温で
温かいものは温かいうちに、冷たい
ものは冷やして、美味しいと感じる
温度で食べる。 - 口当たりをよくする
- 汁物は具だくさんに
- 食材は小さ目にカット
それでもなかなか食べられない場合は、
好きなものを食べるのも、ひとつの案です。
食欲が改善するまでの間だけなら、偏食も
可です。
チョコレートを食べるのもいいですね。
チョコレートなら、認知症予防にもなり
ますし、体内の炎症を抑えてくれます。
高カカオのチョコレートがいいですが、
多少糖分があっても可。
糖分を気にするよりも、好きなものを食べる。
何も食べないよりは、いいです。
食べられないときは、高カロリーの
ものを食べるのがおススメです。
ただ、このような話を聞いて、自己判断で
薬を減らすのは避けてくださいね。
治療効果が出なくなるだけでなく、ときには
思わぬ害をもたらすことがあります。
そして、医者にはどのサプリをどのくらい
飲んでいるか必ず伝えましょう。
忘れてしまいそうなら、お薬手帳に書いて
おきましょう。
医者にかかっている方のほとんどが、
医者にサプリを飲んでいることを報告して
いないようです。
その他の方法として、
薬局に処方箋を出すときや、調剤された薬を
受け取るときに「このサプリを飲んでいる
んですけど、併用しても大丈夫ですか?」と
一言聞いてみましょう。
薬剤師がその場で調べてくれます。
今は、サプリが簡単に手に入りますが、
セントジョーンズワートや青汁、
クロレラなどは『相互作用が起こりやすい』
サプリの代表例です。
重篤な副作用が起きたり、ときには死亡に
つながることもあるため、サプリメントを
日頃から飲んでいる方は、薬との併用に気を
つけましょう。
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