朝日に輝くアイト ベン ハッドゥ
村全体が要塞となっている『アイト ベン
ハッドゥ』。
ここは前回のブログでご紹介したように
数多くの名作映画のロケ地にもなっています。
朝日に照らされたアイト ベン ハッドゥが
とても素晴らしかったので、ちょっと
タイムスリップしますね。
朝、目が覚めたので、窓の外を見ると、
空が薄明るくなっています。
急いで屋上のテラスに。
朝が早いせいか、誰もいません。
目の前の山から、太陽が徐々に昇ってきます。
それと同時に “アイト ベン ハッドゥ” が
輝いてきました。
とても幻想的な雰囲気です。
こんな素晴らしい眺めを独り占め。
なんてラッキーなんでしょう。
砂漠で見たサンライズも素晴らしかった
ですが、このアイト ベン ハッドゥが
輝く景色は、言葉にはあらわせないほど。
しばらく、うっとりと見ていました。
いったん部屋に戻り、その後、朝食です。
この朝食時に、モハさんとちょっとした
いさかいが起こったことは、前回のブログ
でご紹介したとおりです。
ここから、前回のブログの続きになります。
言語習得の秘訣
以前は “アイト ベン ハッドゥ” の前には、
川が流れていました。
この川を渡らないと、村に入れなかったのです。
現在かかっている橋は、近年作られたもの。
川には飛び石がところどころに置かれて
おり、この上を歩いていくわけです。
ただそれほど大きな石ではないし、
固定されているわけではありません。
ですから、渡るのも大変だったでしょう。
そこで子供達が、ここぞとばかり、
ここで小遣い稼ぎをしていたのです。
おっかなびっくり飛び石の上を歩く
観光客の手を引き、川の反対側まで
連れていきます。
そこで、お礼としてチップをもらうのです。
シーズンには、けっこう見入りがあったでしょう。
でも現在は、コンクリートの橋ができた
せいで、川から行く人は減っています。
それに橋から入れば、無料です。
それでも川から行く人もいたようですが、
今はこのとおり、川は干上がっています。
ところどころ、かすかに水たまりのような
ものがあるだけ。
わたしはモハさんに教えてもらった、
無料の入り口から、”アイト ベン ハッドゥ”
に入りました。
近くに、観光客用の入口が見えましたが、
そちらは有料。
またガイドが待ち構えており、観光客に
声をかけていました。
もちろん、自称ガイドがほとんど。
“アイト ベン ハッドゥ” に入ると、細い
道が何本もあり、そこに土産物屋が点在
していました。
絨毯も売っています。
でも、ここで絨毯を買っても、持ち帰るのが
大変だと思うのですが・・・。
細い道を通って、村の中に入って行くと、
既にけっこう人がいました。
みんな、丘の上を目指して歩いていきます。
グループもいましたが、行く方向が同じ
なので、混雑はなかったです。
そして階段を上っているとき、同じ宿に
泊まっているカナダ人の夫婦に会ったのです。
モハさんのツアーに行くのかと思っていた
ので、意外でした。
丘の上に着きました。
ここが “食料貯蔵庫”です。
昔は籠城に備えて、その後は、不作の
ときなどに備え、ここで穀物などを貯蔵
していたようです。
丘の上には、多くの観光客がいました。
丘の上も、じゅうぶん散策できます。
このときには、もうけっこう暑くなって
いたので、わたしは日陰に座ったり、
また辺りを散策しながら、1 時間ぐらい
ここにいました。
ここではみんな、石を積み上げていたので、
わたしも同じく。
12 時をまわったので、階段を降りていった
のですが、このときはどこも混雑していました。
道も階段も狭いので、すれ違うときは
片方が待たなければならないところもあります。
またけっこう急なところもあり、
足元に気をつけないと、危険なところも
あります。
またこのときは、上ってくる人もいれば、
下る人もおり、とにかく混みあっていました。
グループとすれ違うときには、そのグループ
の人すべてが行き過ぎるまで、待つことに
なります。
行列を作っているので、こちらが待つ
羽目になるのです。
「シーズンオフでこんなに混んでいるのだ
から、ハイシーズンのときは、村全体が
すごい渋滞になるだろう」なんて考えて
いました。
あまりにも混んできたので、いったん
ここを出ることにしました。
それに暑いですし・・・。
夕方になったらもう一度来ようと思い、
橋を渡って、”アイト ベン ハッドゥ” を出ました。
でも、橋を渡るより、川を渡っていった
ほうが、情緒がある気がします。
橋を渡り切ったところに、ふたりの
男の子が座って店を広げていました。
どちらも、10 歳前後でしょうか。
いくつか土産を売っていました。
水彩画もあります。
わたしが前を通ると、「マダム」と声を
かけられ、「英語?フランス語?」
と聞かれました。
フランス語と答えると、
「これ買っていかない」とフランス語で
言うのです。
モロッコでは、小さいうちからお金を
稼ぐことを覚えます。
観光客相手に物を売るには、やはり
言葉を覚えなければならないので、
何か国語も喋れるようになるのでしょう。
わたしが思うには、
ある程度ふつうの暮らしをしている人より、
生活水準の低い人達のほうが言語は達者です。
もちろん、通訳ができるほどでは
ありませんが、簡単な会話なら問題なく
できるようです。
じっさい、町を歩いている若い女性に
声をかけると、外国語を話す人はあまり
いませんでした。
彼らは、生活がかかっているので、意欲が
違います。
インプットしたら、即アウトプット。
これが言語習得には一番いい方法なのでしょう。
川を挟んで、アイト ベン ハッドゥの
反対側にある新しい町にでました。
現在、ほとんどの人が、こちらに移り
住んでいます。
なぜなら、“アイト ベン ハッドゥ” には、
いまだに水道や電気がないからです。
町といっても、表通りにレストラン、
カフェ、ホテルが少しあるくらい。
路地を入っていくと、建築中の建物が
多くありました。
これらは、たぶん住居用でしょう。
お腹がすいたので、辺りを見まわすと、
レストランはいくつかありましたが、
誰も入っていません。
営業しているのか、閉まっているのか
わからないところもあります。
営業しているとしても、お客がいなければ
あまり回転していないでしょう。
わたしは以前 お腹をこわしているので、
少し慎重になっていました。
そこで、タコスの店に入りました。
ここは、現地の人達が入っていたからです。
タコスを注文した後、テラスに座って
いると、向かいの道をモハさんが通りました。
「アレ、何で今ここにいるんだろう。
カナダ人とツアーに行かなかったのかな」
と思っていたら、彼もわたしを見つけた
ようで、手を振って通り過ぎていきました。
タコスを食べ終わったあと、教えてもらった
タクシー乗り場に行ってみると、タクシー
がいません。
しばらく待っていると、1 台やってきました。
翌朝 9 時過ぎに、ここでタクシーに乗れるか
どうか尋ねると、そのときによるとの返事。
ワルザザードからお客を乗せてくるタクシー
が来れば、それに乗れるようですが、
そうでなければ、ここにタクシーがいるか
どうかわからないそうです。
以前、ネットで調べたときに、アイト ベン
ハッドゥは、“タクシーがいない” と書いて
ありました。
このようなこともあるかと思い、
ここに相乗りで乗ってきたタクシーの
運転手の電話番号を教えてもらっていました。
料金も交渉済みです。
ただもし来てもらうとしたら、
ワルザザードから来るので、早目に
電話をしなければなりません。
そのときに考えようと思い、
そこから宿に向かって歩いていくと、
近くのホテルから大勢人が出てきました。
このホテルのレストランで、昼食を終えた
グループでしょう。
バスに乗り込んでいます。
これから砂漠に行くのでしょうか。
マラケシュで砂漠ツアーに申し込むと、
ほとんどのツアーは、このアイト ベン
ハッドゥに立ち寄ると書いてありましたから。
周りに何もなく暑いので、宿に戻って
休むことにしました。
満天の星空・アイト ベン ハッドゥ
そして夕方、また “アイト ベン
ハッドゥ” に向かいました。
このときはもうグループはおらず、
人も少なくなっていました。
日帰り客が多いので、ほとんどの人は
帰ったのでしょう。
丘の上はさきほど 1 時間もいたので
そこには行かず、通りからちょっと
入ったところや、奥まったところを
覗いてみました。
いまだに住んでいる家族がいるとの
ことでしたが、残念ながら会うことは
できませんでした。
そして、丘の上から見えた山に。
ここが何なのかわかりませんが、
この山の上に立っている人もいたので、
行かれないことはないようです。
迷路のような村ですので、迷いながら
進んでいくと、やっと山のそばに
行きつくことができました。
ただ時計を見ると、閉まるまで
あまり時間がありません。
またそばまで行くと、けっこう大きな
山で、登るのも大変そう。
時間もないので、山に登ることは
やめました。
そろそろ陽が沈む時間です。
そこでまた元の道を戻り、川に出ました。
「川だった所」と言ったほうがいいかも
しれません。
「以前は川だった」と言われなければ
わからないですね。
ここは現在、野良犬のすみかとなって
いるようです。
夜中も吠え声が聞こえていました。
川幅がそうとうあるので、昔は村を守って
くれる役目を果たしていたと思います、
この村を攻めるには、まずこの川を
渡らなければなりません。
そして川を渡り切っても、入口はひとつ
だけ。
周りは、城壁に囲まれています。
このアイト ベン ハッドゥは、要塞と
して、完璧な条件を持ち合わせて
いたようですね。
そして宿に帰り、夕食の時間になりました。
テラスでと思ったのですが、風が強かった
ため、レトランで食べることにしました。
わたしが席に着いたときは、まだ誰も
来ていませんでした。
わたしはいつも早いようです。
といっても、すでに8時でしたが・・。
お昼がタコスだけだったので、
お腹もすいていました。
するとモハさんが、タジンを
運んできました。
タジンは美味しかったのですが、
ここで、気分を害すことが起こったのです。
タジンを食べていると、
「アイト ベン ハッドゥはどうだった?」
と聞かれました。
「朝は混んでいたけれど、夕方は静かで
ゆっくり見れたからとてもよかった」と
返しました。
ほんとうにそのとおりでしたし・・・。
すると、「自分は、今日はさんざん
だった」というのです。
このように言われたら、ふつう
「どうして?」って聞き返しませんか?
彼は、わたしがツアーを断ったから、
1 日が台無しになった、と言うのです。
「またその話?」
その話は朝 終わったと思っていたの
ですが・・・。
「カナダ人の夫婦を連れていった
んじゃないの?」と言うと、
朝のモハさんとわたしのやりとりを聞いて、
断ってきたとのことでした。
そこで、午前中カナダ人にアイト ベン
ハッドゥで会い、午後になって町で
モハさんを見かけたわけがわかりました。
でもそれは、わたしのせいではありません。
このとき、他のお客がレストランに入って
きたので、モハさんはそちらのお客の
ほうに行きました。
わたしはもう食べる気もせず、デザートを
待たず、部屋に戻りました。
タジンは、しっかり食べましたよ。
モヤモヤした気分でしたが、ただ彼の
せいで、せっかくの旅行を台無しにする
のも嫌なので、考えないことにしました。
どちらにしても、わたしは翌日ここを
出ます。
夜 10 時頃、窓から外を見ると、
なんと、満天の星。
風が強かったので、雲が飛ばされたの
でしょうか。
急いで屋上のテラスに出ました。
砂漠と同じぐらい、うっとりするような
星空です。
“アイト ベン ハッドゥ” は真っ暗ですが、
1 ヵ所だけ、灯りがポツンと見えています。
周りは真っ暗闇、また砂漠と同じく、
素晴らしい星空を眺めることができました。
後から、4 人組も屋上に出てきました。
同じく、星空を見上げています。
いつまでもここにいたかったのですが、
風が強く、そのうえ寒くなってきました。
「もうこのような素晴らしい星空は
見ることがないかな?」と思いながら、
部屋に戻りました。
モロッコ人定番の文句とは?
朝になり、テラスで朝食。
モハさんが朝食を持ってきました。
挨拶もせずにいると、
「この話は終わりにしよう。
だから忘れてほしい。
そんな顔をしていないで笑ってよ」
と言うのです。
「同じ言葉、前にも聞いたけど、
そっちから持ち出したんでしょ」と
思いながら黙って朝食を取っていると、
また繰り返します。
周りに、他のお客はいません。
そこで、「時間ある?ちょっとここに
座ってくれる?」とモハさんに声をかけました。
そこで、
「ツアーに誘うなら、まず料金を伝える
のがふつうじゃない?
ツアー料金を聞かずに、申し込む人は
いないと思うけど。
そして、わたしの返事を聞いてから、
バスのチケットを交換すべきだったん
じゃないの?」
と言うと、今までの人は、料金を言わなく
ても参加してくれたと言うのです。
これは真っ赤な嘘でしょう。
だって、カナダ人の夫婦も、「料金次第」と
言っていましたから。
じつは、わたしの返事を待たず、バスの
チケットをに交換しに行った理由は、
うすうすわかっていました。
この話が出たのは、夕方の 5 時近くだった
と思います。
ワルザザードに行って帰ってくるには、
最低でも1時間はかかります。
そのうえ、相乗りだとタクシー代は安く
なりますが、人数が集まるまで待たなけ
ればなりません。
ただ、彼はこの宿の従業員。
夕食の準備もありますから、すぐに
行かないと間に合わなかったのでしょう。
そのようなことから、わたしの返事を
聞かずに、行くことにしたのだと思います。
彼は何か言いかけましたが、
他の宿泊客が来たので、そちらの
朝食の用意に取り掛かりました。
わたしは朝食後、すぐに出発しようと
思っていました。
荷物を持って部屋を出ると、彼が
いるのです。
ニコニコして、近寄ってきます。
「ちょっと時間ある?」と言って、
そこで写真を見せられたのです。
砂漠でのラクダ引き、ガイドとして、
お客を連れている写真です。
これらをわたしに見せて、「ここは給料が
少ないから、他にも仕事をしないと家族を
養っていかれない」と言うのです。
そのため、今までいろいろな仕事をして
きたが、どの人からも喜んでもらえたと。
確かに彼は人当たりがよく、好感が
持てる顔立ちです。
なんて返事をしたらいいのかわからない
ので、「そう」とだけ言うと・・・。
人の腕に触れ、「ジュテーム」と
言うのです。
ふつう、モロッコでは人のからだに
触れることはしません。
それに「ジュテーム(愛している)」
これは【モロッコ人の定番の文句】
です。
これで、「やっぱりこの人はダメだ」
と思いました。
これは、観光客を相手にサービスを
するモロッコ人がよく使う言葉。
レストランや店員が、お客相手に
よく口にする言葉です。
もちろんしっかりしたレストランや
店では、このようなことを言う人は
いません。
他の人のブログでも、
店員に「愛してる」とか「結婚しよう」
と口説かれたというのはよく見ます。
それこそ、ムーレイ・イドリスの自称ガイド
の話ではありませんが、「うまくいったら
儲けもの」なんでしょうね。
黙っていると、「ジュテーム。
だから、電話番号を教えてほしい」と
言うのです。
それでわかりました。
着いた日、感じがよかったので、
「息子も “アイト ベン ハッドゥ” に
来たいみたい。そのときは紹介して
おくね」と言ったからでしょう。
「悪いけど、電話番号は教えられない」
と答えると「なぜ?」と聞くのです。
「教える必要がないから。
それにもしあなたにツアーを頼むときは、
この宿に連絡するから」と断りました。
彼に頼むことは、まずありえませんが・・・。
そして宿を出ました。
まあ、旅には、ハプニングが付き物。
すべて順調に行くことばかりではないです。
でも、ここに 2 泊して、後悔したかと
いうと、それはありません。
最初は 2 泊にして失敗したかな?と
思いましたが、
朝日に輝く “アイト ベン ハッドゥ” は
とっても素晴らしかったですし、2 泊した
おかげで、またも “満天の星空” を見ることが
できました。
このような素晴らしい星空が見えたのは、
ここがさいごでした。
宿を出て、タクシー乗り場に行きました。
運よくタクシーが 1 台止っており、
すぐに、ワルザザードまで行くことができました。
次回のブログでは、ワルザザードを
ご紹介したいと思います。
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